数の素因数分解ってなんですか?

中学3年生の範囲から中学1年生の範囲へと移動した単元をご存知でしょうか?

数の素因数分解を前倒して学習することになっています。

具体的には、「自然数を素数の積として表すことができる」という文言が追加されています。
例えば120という数は2の3乗と3と5の積で表すことが出来るというような形です。

ぶっちゃけこの時点で、素因数分解って何の役に立つんだよ?って思ってしまいますが、整数問題をこなす上で非常に大事な役目を果たします。
中学生だと最小公倍数最大公約数を見つけるのに役に立つことを抑えていただければと思います。

因数分解、素因数分解とは何なのか?何に使えるのか?を倍数、約数に絡めてお話します。

因数分解の「因数」ってなに?

因数とは「ある数」を二つ以上の自然数の積で表したときのそれぞれ一つずつが「因数」です。

たとえば、

12=4×3
と表したとき、「3」と「4」は12の因数です。

12=2×6
 =1×12
などもあります。それぞれ12の因数です。

12の約数として現れる数は全て12の因数と呼ぶことが出来そうです。

この時、
12=2×2×3
のように、「素数」の「因数」だけで元の数を「分解」することを合体して読んで「素因数分解」と呼んでいます。

先ほどの120も
120=2×2×2×3×5
と素因数分解することが出来ます。

この素因数分解が出来ると、最小公倍数と最大公約数が簡単に求められるようになります。

最小公倍数の求め方

<例題>
12と30の最小公倍数を求めよ

そもそも最小公倍数ってなんだっけ?という方のためにちょっと説明。

例を使って説明すると、12の倍数でもあり30の倍数でもある数(公倍数)の中で一番小さいものを「最小公倍数」と呼びます。

昔懐かしの「すだれ算」とか使えば解けると思いますが、あれの仕組みにもつながってきます。

<解説>

まず準備。

それぞれの数を下ごしらえとして素因数分解しておきます。

12=2×2×3
30=2×3×5

12の倍数は12×1=12,12×2=24,12×3=36,…などですが、12に何か自然数を掛け合わせるため、必ず2×2×3(=12)という式が12の倍数を素因数分解したときに含まれます。

36=12×3=2×2×3×3
48=12×4=2×2×3×4

30の倍数も同様に10に何か自然数を掛け合わせるため必ず2×3×5(=30)という式が30の倍数を素因数分解したときに含まれます。

60=30×2=2×3×5×2

と、いうことは。

12と30の最小公倍数nは因数分解をすると2×2×32×3×5を同時に持っているということです。(nは自然数)

実際式で表すと
n=2×2×3×5

これは、
n=2×2×3×5=12×5
n=2×2×3×5=30×2

となるので、確かに12の倍数でも30の倍数でもある事が示せています。

よって60が最小公倍数ですね。

先ほどの「すだれ算」で確認すると、

左側にある数「2と3」は12と30に共通して含まれる素因数です。
下側にある数「2と5」はそれぞれ12と30に共通して含まれなかった素因数です。

なのでこの全て(青枠内)を掛け合わせた60という数が最小公倍数になるんですね。

最小公倍数の倍数が公倍数であるのも納得です。
最小公倍数である60は12の倍数でも30の倍数でもあるのでそれを2倍,3倍とすれば公倍数が求まります。

最大公約数の求め方

<例題>
12と30の最大公約数を求めよ

最大公約数についてもおさらいします。

12の約数でもあり30の約数でもある数(公約数)の中で一番大きい数を最大公約数と呼んでいます。

<解説>

先ほど使った素因数分解をまた使います。

12=2×2×3
30=2×3×5

今度は二つに共通して現れる素因数を探します。

12=2×2×3
30=2×3×5

よく見ると2×3はどちらの数にも共通して現れていますね。
なので2×3=6で元の数は割り切る事が出来ます。

よって最大公約数は6です。

最大公約数を素因数分解すれば、他の公約数も計算することが出来ます。

これも「すだれ算」で確認すると、

共通して割ることのできる数「2と3」を掛け合わせた数が最大公約数になりますね。

「3つの数のすだれ算」の謎

3つの数の最小公倍数と最大公約数を求める際に、「すだれ算」を行うと不思議なことをします。

3つの数で割り切れる数で割って、出来なくなったら2つの数で割り切れる数で割って、1つはそのまま下ろす。という作業です。

文章にするとよくわからないので、例題をもとに見てください。

<例題>
8と12と18の最小公倍数を求めよ

「すだれ算」でおりゃーとやるとこんな感じになります。

2から3段目と3から4段目の赤矢印に注目です。

なんですかね、そのまま下ろすって。
小学校の頃私は心底不思議に思いました。今まで共通して割っていたのにイレギュラーを認めていいのか?イレギュラーがあるのになぜ答えにたどり着けるのか?

この答えは72になるそうですが、いまいち納得いきません。

なので、先ほどの方法を利用してこの問題を解きます。

<解説>

まずそれぞれ素因数分解する。
8=2×2×2
12=2×2×3
18=2×3×3

それぞれの数が含まれている形を作る。
n=2×2×2×3×3=72

すでに答えが出ていますが、「すだれ算」と見比べて下さい。

最初に2で割って、3つの数に共通する素因数を見つけます。
次に2で割って、2つの数に共通する素因数を見つけます。
最後に3で割って、2つの数に共通する素因数を見つけます。
残ったものはお互いの数に含まれなかったものです。

これらを掛け合わせたものが
n=2×2×2×3×3
ですよね?

n=2×2×2×3×3=8×3×3
n=2×2×2×3×3=12×2×3
n=2×2×2×3×3=18×2×2

この謎の「そのまま下ろす」も素因数分解がわかれば怖くないですね。
上のフィルターにかけて出てきた残りカスが下に落ちてきているみたいな感じです。

素因数分解をせっかく習うので、併せてどのような場面で使うのかも学習できると周りと差がついてきます。

数学の単元に意味のないものは存在しないので、一つ一つ確実に積み上げて学習してください。

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。